おすすめスポット/熊野地域に残る熊野カルデラの痕跡/色川のボウズ岩(那智勝浦町)
2021/9/6
地域リポーター

巨大な熊野カルデラ

古座川の一枚岩(古座川町)

約1500万年前、熊野地域には巨大な火山が存在していました。

その火山は1400万年前に多量の火砕流を噴出、地下が空洞化して東西約23km、南北約40kmにわたって地面が陥没、巨大なカルデラを形成し、カルデラ火山となりました。

カルデラの周辺や内側に噴出したマグマは、地表や地中で冷え固まって火成岩となりました。

熊野の巨岩や奇岩の多くは、その時にできた火成岩であることが成分分析などから分かっています。その後、長い年月をかけて大地の隆起や浸食、風化が起き、それぞれの岩が変化を重ねて今、地表に姿を見せています。

*参考 南紀熊野ジオパークHP

熊野カルデラ火山の火山活動の痕跡としては、次のようなものがあります。

聖地
那智の滝 (那智勝浦町)
神倉神社 (新宮市)
御船島 (新宮市)
河内島 (古座川町)

景勝地
橋杭岩 (串本町)
一枚岩 (古座川町)
虫喰岩 (古座川町)
天柱岩 (古座川町)

聖地や景勝地にはなっていませんが、熊野カルデラの痕跡として一度見ておきたいのが、那智勝浦町色川地域にある「ボウズ岩」と呼ばれる奇岩です。

展望所から見えます

那智勝浦町小匠から高野林道を坂足に向かって進むと前方遠くに頭からかぶる高い帽子のような形の岩塔が見えてきます。これが熊野カルデラ火山から噴出・流動した大量の火砕流からできた岩石の一部が現在まで残ったボウズ岩です。

ボウズ岩は近くに行っても見えません。そばまで行くには獣道のような急な斜面を20分ほど登らなければならず、大変危険です。

しかし、ボウズ岩がよく見える展望所があります。

案内看板に従って、県道43号那智勝浦古座川線で坂足地区を目指します。うっそうと緑が茂る山道は、車1台分の幅しかない箇所が続くので運転に注意してください。集落に到着すると展望所の看板があり、遠くにボウズ岩が見えます。

車1台分の幅しかない道が続きます。

見学に行かれる際は天気の良い昼間の時間帯をお勧めします。

1500万年も前に存在していた火山の痕跡をぜひお子さんとご覧になってください。

【基本情報】
色川のボウズ岩(展望所)
所在地:和歌山県那智勝浦町坂足

地域リポーター・定山 里奈