■雨の古道を楽しもう(2)撥水と防水の違い|AGARA熊野古道コンシェルジュ

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■雨の古道を楽しもう(2)撥水と防水の違い

2020/11/16
c.nagase

撥水(はっすい)と防水の違いは分かりますか。撥水は、ハスの葉のように布地の表面で水を玉のようにしてコロコロと弾く性質。防水は水を通さない性質です。一見同じように思えますが、布地は表面に撥水処理をすれば小雨程度は弾きますが、糸と糸の間に隙間があるので、強い雨に打たれたり長い時間雨の中を歩いたりしていれば水を通してしまいます。

○透湿素材には撥水が重要

それでは、雨を防ぐのには防水素材があれば撥水性能はいらないのかというと、そうではありません。特に、透湿素材を使った雨具には、撥水性能がとても重要です。透湿性の防水素材は、雨具の中にこもった水蒸気を微細な穴を通して外部に放出しますが、その際に布地の表面がべったりぬれていると出口が塞がれ、湿気を閉じ込めてしまいます。結果として、せっかくの透湿性能が生かせず、雨具の中が汗でぬれてしまいます。

撥水加工をして販売されているアウトドアウエアやレインウエアは、新しいうちは気持ちよく水を弾きますが、使っているうちにだんだん弾かなくなり、やがて表面がべったりぬれてしまいます。

○アイロンで撥水を回復

撥水性能を復活させる方法はいくつかあります。まず試してほしいのはアイロン掛けです。撥水加工は、熱を加えると回復する性質があるので、アイロンを低温~中温にセットして、当て布をしてアイロン掛けをします。衣類乾燥機やヘアドライヤーを使っても効果が得られます。アイロンを掛ける際には、ウエアの洗濯マークで使用できる温度を確認してください。

○スプレーの利用は屋外で

 アイロンを掛けても撥水性能が回復しない場合には、撥水加工そのものが劣化しているので、市販の撥水スプレーを吹いたり、漬け置き式の撥水剤を使用したりします。その場合も加工後に熱処理をすると効果的です。熱処理の応用で、雨を弾かなくなった雨傘の表面をドライヤーであぶると撥水性能が回復することがあります。一度試してみてください。

 なお、撥水スプレーを吸い込むと肺の中に成分が付着して呼吸困難になる危険があるので、製品の注意書きに従って屋外で使ってください。私は撥水スプレーを使うときは風上に立ち、散布中は息を止めています。