皆地笠デビュー|AGARA熊野古道コンシェルジュ

熊野古道コンシェルジュ

皆地笠デビュー

2020/11/3
c.nagase

皆地笠(みなちがさ)をご存じですか。ヒノキを薄いひも状にして編んだとんがり頭の帽子です。熊野古道ではよく、語り部さんがかぶっています。

この笠は、田辺市本宮町皆地で平安時代から作られてきました。かつては集落内で作業工程を分担して量産していましたが、今は作る技術を持っているのは芝安雄さんただ1人となりました。芝さんは2021年1月に100歳を迎えますが、現役の職人として笠を作り続けています。その製品は、実用品でありながら工芸品の域に達し、インテリアとして買い求める人も少なくありません。

以前から欲しいと思っていながら機会を逃していたのですが、先日、ようやく手に入れることができました。街中でかぶる勇気はまだありませんので、先日、世界遺産に登録されている熊野古道「かけぬけ道」を歩く際に初めて使いました。

 頭に汗止めの手ぬぐいを巻いてかぶります。さて、その使い心地ですが、とても軽くて、まるで頭に何も載っていないようです。笠の内側には丸い笠台があり、頭と笠の間に隙間ができるので風通しが良く、蒸れません。ヒノキは油を含んでいるので水を通さず、笠の幅が広いので、雨の日には肩の辺りまでぬれるのを防いでくれるそうです。

 生産数に限りがあるため、購入できるのは田辺市中辺路町の道の駅「熊野古道中辺路」と本宮町の「奥熊野古道ほんぐう」の売店、それに熊野本宮大社境内の「とりいの店」の3カ所のみです。価格は税込み8,500円と決して安くはありませんが、土産物店で見かける海外製の編み笠とは別物です。興味のある方はぜひ一度、手に取ってみてください。