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■雨の古道を楽しもう(1)雨具の選び方

■雨の古道を楽しもう(1)雨具の選び方 2020/11/10 せっかく古道歩きを予定しているのに、雨が降りそうなので心配。もしも雨天なら中止にしようと思う――。そういった方も多いと思います。しかし、雨の古道は、晴れた日にはない風情があったり、霧に霞んだ美しい景色が見られたりします。準備を整えた上で、雨の古道をぜひ楽しんでください。  ○降水確率50% 私はかつて「雨男」の称号をもらいました。古道を歩く日がことごとく雨にたたられ、当時の降水確率は実感としては50%ぐらい。それも、しとしと雨ではなく、当日の朝まで大雨洪水警報が出ていた、ということが何回もありました。そんなことから、雨に備えた知識が少しずつ蓄積されていきました。ただし、登山やトレッキングの専門家ではないので、参考程度に読んでください。  ○ビニールカッパはだめ 100均やコンビニで売っているビニールカッパやレインコートは安くてコンパクトなので非常用の雨具に使いたくなりますが、古道歩きにはお勧めできません。外からの雨を防いでも汗や湿気を雨具の中に溜めてしまうので、長い時間着ていると、結局服はずぶぬれになってしまいます。別の機会に書きますが、ビニールカッパを着るよりも、折り畳み傘を持参する方がはるかに快適に歩けます。   ○透湿性が重要 山歩きの雨具に求められる性能は防水性と透湿性です。防水性能は、雨の浸入を防ぐ機能、透湿性は、雨具の中にこもった水蒸気を外に排出する機能です。防水性能は「耐水圧」、透湿性能は「透湿性」として、それぞれ数字で表示されます。数字が大きい方が高性能の雨具ということになります。   代表的な防水・透湿素材は「ゴアテックス」です。素材として優れているだけではなく、素材を提供するアメリカのゴア社が最終製品の仕上がりまで厳しい基準を設けているので、安心して使うことができます。その代わりに価格は高く、ジャケットとパンツの上下セットで3万~5万円ぐらいが目安になります。   「雨具に3万円も使えない」という方は、各アウトドア用品メーカーのオリジナル防水・透湿素材に目を向けてください。上下セットで1万5千円ぐらいから購入することができます。「それでもまだ高い」「雨の日はできるだけ歩かないので雨具は非常用」という方は、ワークマンなど作業着専門店で透湿のレインウエアを探してみてください。アウトドア用品メーカーの製品に比べて機能性は及ばないかもしれませんが、ビニールカッパよりはるかに快適なはずです。    ○耐久性ではゴアテックスがお勧め せっかくの高価なレインウエアなので、山や古道を歩く際の雨具としてだけ使うのではなく、春や秋に羽織るジャケットとして使えば無駄になりません。(ファッションセンス上、受け入れられない方もいるでしょうが・・・)。これまで、同一ブランドのゴアテックス製品とオリジナル素材の手頃な価格の製品を何着か使ってきましたが、耐久性はやはりゴアテックスが優れています。それ以外の素材は、首筋や脇などこすれやすい場所が傷んで防水性が損なわれたり、すり切れてしまったりしました。高価でも、長年使えるゴアテックス製品が結局は得になると思います。

皆地笠デビュー

皆地笠デビュー 2020/11/3皆地笠(みなちがさ)をご存じですか。ヒノキを薄いひも状にして編んだとんがり頭の帽子です。熊野古道ではよく、語り部さんがかぶっています。 この笠は、田辺市本宮町皆地で平安時代から作られてきました。かつては集落内で作業工程を分担して量産していましたが、今は作る技術を持っているのは芝安雄さんただ1人となりました。芝さんは2021年1月に100歳を迎えますが、現役の職人として笠を作り続けています。その製品は、実用品でありながら工芸品の域に達し、インテリアとして買い求める人も少なくありません。 以前から欲しいと思っていながら機会を逃していたのですが、先日、ようやく手に入れることができました。街中でかぶる勇気はまだありませんので、先日、世界遺産に登録されている熊野古道「かけぬけ道」を歩く際に初めて使いました。  頭に汗止めの手ぬぐいを巻いてかぶります。さて、その使い心地ですが、とても軽くて、まるで頭に何も載っていないようです。笠の内側には丸い笠台があり、頭と笠の間に隙間ができるので風通しが良く、蒸れません。ヒノキは油を含んでいるので水を通さず、笠の幅が広いので、雨の日には肩の辺りまでぬれるのを防いでくれるそうです。  生産数に限りがあるため、購入できるのは田辺市中辺路町の道の駅「熊野古道中辺路」と本宮町の「奥熊野古道ほんぐう」の売店、それに熊野本宮大社境内の「とりいの店」の3カ所のみです。価格は税込み8,500円と決して安くはありませんが、土産物店で見かける海外製の編み笠とは別物です。興味のある方はぜひ一度、手に取ってみてください。

古道歩きにお薦めの靴

古道歩きにお薦めの靴 2020/7/20熊野古道の魅力の一つは苔むした美しい石畳ですが、いざ歩くとなるとこれがかなり滑ります。特に雨で濡れた下り坂の石畳はスケートリンクのようにつるつる滑り、転倒の危険もあります。 運動靴でもトレッキングシューズでも登山靴でも、滑りやすい靴と、あまり滑らない靴があります。底がごつごつした登山靴は一見滑りにくいように思いますが、堅い靴底(ソール)は石畳ではかなり滑ります。手持ちの靴が滑りやすいかどうかは、タイル貼りの床や金属の溝蓋などをぬらして、足を押し付けてぎゅっと滑らせてみると分かります。

水面のパレット

水面のパレット 2020/6/22江戸時代中期の画家・長沢芦雪が立ち寄り作品を残した田辺市稲成町の名刹、高山寺でハスの花が見頃を迎えています。 水面に映るハスの姿やトンボの写真を撮りました。 トンボは、同じ場所に何度も止まるので、構図を決めて待っていれば写真が撮れます。  

霧の「亡者の出会い」

霧の「亡者の出会い」 2020/6/4熊野古道最大の難所、大雲取越には「亡者の出会い」という場所があります。そこを歩いていると亡くなった肉親や知人に出会えるという場所で、霧に霞んだ日には伝承が頭をよぎります。